The Corporation / Joel Bakan
YL(難易度):未記載 ページ数 :224ページ
ストーリー
現代社会において企業の影響力は計り知れません。では、どのようにして企業はそこまで力を持つようになったのでしょうか。
著者は企業を「病的に」利益とパワーを追い求めていく姿として捉え、アメリカの産業史や事件史を紐解きながら企業がいかにして巨大になり、現代社会を動かす存在となったのかを解き明かします。
法律によって作られた架空の人物は悪なのか、または人の暮らしをより良くする存在なのか、国や制度を超えてグローバルに拡大していく見えざる存在を法学者が分析し、その姿を暴いていきます。
おすすめのポイント
政治、経済、社会学、法律といった人文系の分野を網羅し、学生向けの本としておすすめです。
特に深い知識は読むには必要とせず、単語力さえあれば読解できる本なので英語学習者向けにお勧めです。
また、構成として章によりトピックが分かれているので、部分的にも読めるのが特徴です。因みにこの本はアメリカで映画化されたベストセラーです。
このようなアメリカ社会を描いた本は英語の原文の方が物語として面白く、英語教材、人文系の学習教材としても幅広く利用する価値はあるかと思います。
個人的な感想
各国でベストセラーになっただけあり、なかなか面白いです。
これを読むと、もし企業に勤めたら良い行いをしようという気持ちになります。
アメリカは良く民主主義のお手本みたいに言われますが、この本は民主主義と企業との接点についての分析が非常に鋭く、英語が得意な人にとっては一見簡単に読めてしまう書き方ですが、非常に奥が深い本です。
この本はいわゆる、主義主張を唱えた本ではないので、最後まで企業の行動に白黒つけないところが良いところだなと思いました。
逆に言えばそれだけ著者の洞察が優れているのだと思います。
書かれたのが2000年代の初めで、インターネット企業が世界的に大きくなる前ですが、2017年の今でも通ずる視点で、情報が益々繋がる今だからこそ、こういう本が必要とされ読まれて欲しいと思いました。